松の物理学勉強帳

実験で理学修士取得後、16年のブランクを経て再び書を手に取った筆者の物理学学習メモ。素粒子に向かっています。初学者の助けになればいいなと思います。また、ツッコミお待ちしております。

光格子時計とは 次に原子時計

クオーツ時計から大幅に精度が向上したのが原子時計です。クオーツ時計では水晶の共振信号を用いましたが、原子時計では、原子とマイクロ波の共鳴を使って時間を計ります。国際的に、1秒という単位の基準になっているのは、セシウム133です。

 

簡単に原理を説明しますと、セシウムマイクロ波を照射しますと、ある特定の周波数(セシウム133なら91億9263万1770Hz)で、原子からの放射強度が極大になります(共鳴)。この共鳴があれば周波数は91億9263万1770Hzで合ってることになりますし、なければ周波数がずれているということで、マイクロ波に対して周波数の補正を行います。こうして得られた91億9263万1770Hz(セシウム133の場合)のマイクロ波を基準として時を刻むのが原子時計です。この91億9263万1770Hzという数字も、セシウムの超微細構造云々という話が絡むのですが、今回は省略します。

 

周波数3万2768Hzのクオーツ時計と比べますと、精度が桁違いに上がっていることがお分かりいただけるかと思います。ノイズかなにかの原因で周波数が100Hzずれたとしたら、クオーツなら100/32768:約0.3%の誤差になるのに対し、原子時計なら100/9192631770:10^-6%の誤差です(乱暴な議論ですが、まあ単純な例ということで)