松の物理学勉強帳

実験で理学修士取得後、16年のブランクを経て再び書を手に取った筆者の物理学学習メモ。素粒子に向かっています。初学者の助けになればいいなと思います。また、ツッコミお待ちしております。

どはまり中(愚痴)

計算できずにどはまり中。独学だと、質問したり知恵を出し合ったりできる場がないので辛い。Web上には質問掲示板みたいなのもあるが、ピンポイントな質問に回答が寄せられるかは非常に懐疑的。

しかし、計算を省略せず読者が追えるようにした、ってよく書かれているけど、嘘だよなあ。一つ一つ計算過程を書いていったら、今何をしているのか分からなくなるという危険もあるので、計算を省略すること自体は一つの有効なやり方だと思うけど、省略してるのに省略しないと書くのは嘘だよなあ。

で、今はまっているのは、式\((1.94)\)の導出。

$${\bf G} = \frac{1}{c^2}\int_{cavity} ({\bf E}{\times}{\bf H})d^3r = \frac{1}{2}\sum_{l,σ}h{\bf k}_l (a_{lσ}a^{*}_{lσ}+a^{*}_{lσ}a_{lσ})$$

の左辺に、\((1.34)\)の\(E\)と\((1.35)\)の\(H\)を入れて、右辺を得るところ。\(E\)と\(H\)の表式は

$${\bf E}({\bf r}, t) = \sum_li\sqrt{\frac{\hbarω_l}{2ε_0}}\{a_l(0)e^{-iω_lt}-a_{l}^{*}(0)e^{iω_lt}\}{\bf u}_l({\bf r})$$

$${\bf H}({\bf r}, t) = \sum_l\frac{1}{μ_0}\sqrt{\frac{\hbar}{2ε_0ω_l}}\{a_l(0)e^{-iω_lt}+a_{l}^{*}(0)e^{iω_lt}\}\nabla\times{\bf u}_l({\bf r})$$

そもそもこの\(E\)と\(H\)には偏光の要素が入ってないし、なぜか代入したら積分が消えるし、謎だらけです。さっぱり分からない。上にも書いたように、一つ一つの計算を追うまではしなくても、どの式とどの式を使ったくらいは書いてほしいところです。

と愚痴をこぼすにとどめ、結果だけを手に先へ進む。ずっと勉強してれば、いつか分かるときも来よう。

2.1 古典力学の運動法則(2)

ハミルトン形式の運動の記述

$${\bf \dot{p}} = {\bf F}({\bf q})~~~~~~~~~~~~(2.7)-1$$

とすると、

$${\bf \dot{q}} = \frac{\bf p}{m}~~~~~~~~~~~~(2.7)-2$$

となる。(2.7)-2は、運動量の定義式となる。

エネルギーを\(p\)と\(q\)で表したものをハミルトニアンという。ハミルトニアンによって、系の性質が決まる(ポテンシャルの形とか、そういった情報がハミルトニアンには入っている)。今の場合だと

$$H=\frac{{\bf p}^2}{2m} + V({\bf q})~~~~~~~~~~~(2.8)$$

これ\(p,q\)でそれぞれ偏微分すると、ハミルトン方程式\((2.9)\)が得られる。

$${\bf \dot{q}} = \frac{\partial H}{\partial {\bf p}},~~~~~~{\bf \dot{p}} = (-\frac{\partial V}{\partial {\bf q}}) = -\frac{\partial H}{\partial {\bf q}}~~~~~~~~~~~~~~~~~(2.9)$$

多体系にもこれは使えて、一般化座標と運動量を\(q_i, p_i\)と書くと、

$$\dot{q}_i = \frac{\partial H}{\partial p_i},~~~~~~~~\dot{p}_i = -\frac{\partial H}{\partial q_i}~~~~~~~~~~(2.10)$$

を解けばいい。要は、物体1の\(x\)座標と\(x\)方向の運動量を求めたければ、\(q_i=x, p_i=p_x\)として解いてやればいいわけです。

ここで、座標と運動量を\(q, p\)で系を表してきましたが、これをいじって、\(q\)と\(p\)の関数である\(Q(q,p), P(q,p)\)で系を表そうとしたらどうなるか考えます。簡単のため、これからしばらくは、物体は1個、一次元、すなわち一個の質点がx軸上のみを動く場合を考えます。このとき、もちろん\(H\)の形式も変わって、\(H'\)みたいになる。この\(H'\)と\(Q,P\)で

$$\dot{Q} = \frac{\partial H'}{\partial P}, ~~~~~~~~~~~\dot{P} = -\frac{\partial H'}{\partial Q}$$

と表せる場合、これは同じ物理系を扱っていることになります。このような変数\(Q,P\)を正準変数と呼び、このような\((q,p)→(Q,P)\)の変換を正準変換といいます。このPCは真っ先に「清純変換」と変換しやがりました。

とはいえ、どんな座標変換も正準変換になるわけじゃありません。正準変換になるための条件があります。それは、ヤコビアンが1になること。

ヤコビアンとは何ぞやといいますと、ポアソン括弧式

$$\left\{A,B\right\}_{q,p} = \frac{\partial A}{\partial q}\frac{\partial B}{\partial p} - \frac{\partial A}{\partial p}\frac{\partial B}{\partial q}~~~~~~~~~~~~~~~(2.11)$$

を定義した場合の

$$\left\{Q,P\right\}_{q,p}~~~~~~~~~~~~~~~~(2.14)$$

のことです。すなわち

$$\frac{\partial Q}{\partial q}\frac{\partial P}{\partial p} - \frac{\partial Q}{\partial p}\frac{\partial P}{\partial q}$$

です。たとえば、物体の座標の原点が、ある速さ\(v\)で動いている系に変換したとすると、

$$Q=q-v, ~~~~P=p-mv (mは物体の質量)$$

みたいな感じで書けるわけですが、このときのヤコビアン

$$\frac{\partial Q}{\partial q} = 1,~~~\frac{\partial P}{\partial p} = 1$$

$$\frac{\partial Q}{\partial p} = 0,~~~\frac{\partial P}{\partial q} = 0$$

から、1となることが分かります。よって、座標の原点が等速直線運動をしている系に座標変換したとしても、同じ物理系を扱っていることになるわけです。

あと、ポアソン括弧式で重要なのは、ある物理量とハミルトニアンとのポアソン括弧式は、その物理量の時間変化に等しいこと。

次回は、ヤコビアンが1なら本当に\(Q,P\)が正準変数になるのかというのを確かめてみたいと思います。

この本を読んでいる人が、ここら辺の説明を必要としているのか非常に疑問だけど、自分用のメモとして、あとLaTeXの練習として(笑)、次また書きます。

2.1 古典力学の運動法則(1)

ここはサクッと行きます。質点の運動です。座標は\(q\)で表します。

ニュートン運動方程式

$$m\frac{d^2q_i}{dt^2} = F_i ~~~~~~~~~~ (i=1,2,3) ~~~~~~~ (2.1)$$

位置エネルギー(ポテンシャル)\(V(q)\)を用いて\(F_i(q)\)を表すと

$$F_i({\bf q}) = -\frac{{\partial V}}{{\partial q_i}}~~~~~~~~~~~~~~~(i=1,2,3)~~~~~~~~(2.3)$$

となる。

質点の運動量\(p\)とエネルギー\(E\)は次で与えられる。

$${\bf p} = m\frac{d{\bf q}}{dt}~~~~~~~~~~~~~~~(2.5)$$

$$E = \frac{m}{2}(\frac{d{\bf q}}{dt})^2 + V({\bf q})~~~~~~~~~~~~~~~~~(2.6)$$

\((2.6)\)から、\(E\)が\(t\)によらない、エネルギー保存則を導くことができるんだけど、ここではやらない。\((2.6)\)をいじり回したらエネルギー保存則(\(\frac{\partial E}{\partial t}= 0\))が得られるということを知っておけばいい。

補足として、微分の二乗は

$$(\frac{d{\bf q}}{dt})^2 = (\frac{ \mathrm{d}q_1}{dt})^2 + (\frac{ \mathrm{d}q_2}{dt})^2 + (\frac{ \mathrm{d}q_3}{dt})^2$$

ということ。

ちょっと短いけど、ここまででいったん区切り。次はハミルトン形式について。